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バイクのプリロード調整と基本ルール
当店でリアサスペンションを購入してくださった方向けにプリロード調整を解説した記事です。
公道走行を前提に、初心者の方にも理解できるよう、基本から順番にお伝えしています。
※YSS製品の偽物・並行輸入品にご注意ください
YSSサスペンション正規販売店
有限会社ガレージ湘南
サスペンションとは?
プリロード調整の話に入る前に
「そもそもサスペンションとは一体、どんなものなのか?」
「どういう役割があって付いてるのか?」
サスペンションの基本を解説した動画を観ておくと、より理解が深まります。
たった5分で、肝心な部分をわかりやすく解説されています。
※動画は4輪ですが、サスペンション自体の基本動作は2輪と同じです
スプリングや、ショックアブソーバー(ダンパー)の動作に注目してください。
「サスペンション」は、車体とタイヤをつなぐ(あるいは吊す)足回りの仕組み全体をいいます。
例:フロントフォーク(フロントサスペンション)、リアサスペンション、スイングアーム、リンク式サスペンション
広い意味では、タイヤも衝撃を吸収するため、サスペンションの一部とする考え方もあります。
時代が変わっても、路面追従性の向上がサスペンションの存在意義であることは変わりありません。
リアサスペンションの近代史
流れとしては、1940年代ぐらいからスプリングと、ダンパーが一体になったリアサスペンションへと進化。
1950年代にツインショック(2本サス)が登場し、1970年代初頭まで主流になりました。

シートレール(フレーム)と、スイングアーム(またはタンデムステップ付近)に取り付けられるツインショック。

リンク式サスペンションが採用された '86 NSR250R MC16。上部はフレーム、下部はリンクに取り付けられる。
1973年にはモトクロスで、ヤマハが自社開発のモノショック(1本サス)を採用し、国内外のレースで優勝、タイトルを獲得しました。
ロードレースでは1975年頃からモノショックが採用され、1970年後半にはリンク式サスペンションが登場。
ホンダは「プロリンク®」、カワサキは「ユニトラック®」という名称を用いています。
(ヤマハや、スズキもそれぞれ、リンク式サスペンションを採用)
リンク式サスペンションには、以下の特徴があります。
・設計の自由度に優れる。サスペンションのストロークや、動作特性を自在に設定したり、リアサスペンションを車体中央に配置することで、重心を集中化して、運動性能が向上する。
・路面の凹凸を通過した際、初期のサスペンション動作はやわらかく、後半でしっかり踏ん張る。
マシン性能を最大限まで引き出す技術の一つとして、スポーツライディングのオンロード・オフロードマシンに広く採用されています。
反面、部品点数が増えるためコスト高になる点や、リンクが固着すると運動性能はもちろん、乗り心地は一気に悪くなるというデメリットもあります。
ポイント:
サスペンションを調整する前に、(リンク式の場合は)リンクが動作しているかどうか、タイヤの空気圧や、摩耗状態を確認する。空気圧不足、摩耗したタイヤ、古くなったタイヤだと、サスペンション本来の性能が発揮できなくなります。
ショックアブソーバー?サスペンション?

日本だと、「リアサスペンション」もしくは「リアショック」と呼ばれるのが一般的です。
1,スプリング(バネ)
2,ダンパー(ショックアブソーバー)
2つのパーツが組み合わさったものがリアサスペンションです。
冒頭の動画のとおり、スプリング単体だと、路面の衝撃でボヨヨーンの状態がいつまでも続いてしまいます。
オイルの抵抗を使って、スプリングの動作をおさえるのがダンパー(減衰装置)の役割です。
(ダンパーは一軒家の玄関ドアや、自動車のドアなど、急に閉まると危険なところで使用されています)
「ショックアブソーバー」は、言葉の意味はダンパーとほぼ同じで、ダンパーと同じ意味合いで使われます。もしくは、リアサスペンション本体を指す時に使用されることもあります。
本記事では、本体をリアサスペンション(リアサス)、スプリング、ダンパーと呼びます。
世界最古のオートバイ:
19世紀末の量産車は、リアサスペンションが無く、フロントもほぼ、固定式だったそうです。(現代で言うとママチャリのようなものでしょうか)
その後、フロントにバネが使われるようになり、リアはリジッドサスペンション(スプリングや、ダンパーがなく、フレームと車輪を直接、固定した構造)に。1930年代になると、リアにもスプリングが使われるようになりました。
プリロード調整とは
Preload(プリロード)を直訳すると前荷重。
「前もってスプリングに荷重をかける」という意味です。
もっとわかりやすく言えば、
プリロード調整=スプリングのテンションを調整する
スプリングのテンションを調整する=スプリングの縮み量を調整する
ということです。
※イニシャルとも言いますが、プリロードと意味は同じです。

使用済みのサスペンションから取り外したスプリング。
ご覧のように、全くテンションがかかっていない状態でのスプリングの長さを「自由長」と言います。
覚えなくても結構ですが、サスペンションの話でよく登場する用語のひとつです。

スプリングとダンパーを組んだ状態(サスペンションになった状態)からどの程度、スプリングを縮めていくのか?
これがプリロード調整の入り口です。
仮にAをプリロード最弱だとして、Bをプリロード最強だとしましょう。
実際には純正品、リプレイス(社外)品を問わず、メーカーがあらかじめ設定した基準プリロード量で出荷されています。
しかし、あくまで特定の多数に向けたセッティングなので、「万人にとって、常に最適」とは限りません。
メーカー側が想定した使用環境や、使用状況と、あなたの使い方がおおきく不一致した場合、無理してそのまま乗り続けるより、プリロード調整したほうが安全で乗りやすく、より快適に走れます。
プリロード調整が必要な時
以下のような場合において、調整したほうが良いケースはあります。
1、想定標準体重より重い
たとえば、ライダーの体重、タンデム走行、荷物の積載などです。
純正・リプレイス(社外)品を問わず、サスペンション設計する際の基準があります。
それが「想定標準体重」です。
YSSサスペンションは正規品の場合、日本向けは想定標準体重 おおむね60kgから80kgで設計されています。
(タイと日本人の平均体重はほぼ、同じため共通仕様)
いっぽう、おなじYSSでもヨーロッパ仕様は、乗車するライダーの体格のちがいや、「2人乗りでハイスピードで走行する」という環境を考慮して、80kg以上で設定されている製品もあります。
この理屈は、ほかのリプレイス品も、純正サスペンションも共通です。
設計者側の意図と、実際の使用環境がおおきく異なれば、不都合が発生しやすくなるのは当然ですね。
2、セッティングが不一致
逆輸入車、もしくは輸入車でよくあるケース。
たとえばヨーロッパ仕様のサスペンションを装着した場合や、大型スーパースポーツ車で、日本の公道向けにサスセッティングされていない場合が該当します。
例:プリロードが強すぎてサスペンションがストロークしないため、非常に乗りづらい状態。
「バイクメーカー出荷時の状態が、最適なセッティング」
という思い込みのせいか、乗りづらくても「自分が下手なせいだ」と思ってしまうライダーが多いようです。
ダンパー調整を含めての話になりますが、きちんとセッティングし直すと、「まるで別のバイクに乗り換えたみたいです」と皆さん、おっしゃいます。
どのメーカーのサスペンションが良い悪いの前に、そもそもセッティグが合ってるかどうか? が重要です。
プリロード調整5つの効果
適切に調整することで、以下のメリットがあります。
1.乗り心地の改善
プリロードを適切に設定することで、路面の凹凸や、衝撃を効果的に吸収できるようになります。
これにより、ライダーはより快適な乗り心地を体感でき、長距離ツーリングでも疲れにくくなります。
2.走行安定性の向上
適切なプリロード調整は、前後のサスペンションのバランスを保ち、走行中の安定性を向上させます。
不適切な調整は、バイクが前後に揺れやすくなり、ハンドリングが不安定になる可能性があります。
3.タイヤ接地感の向上
サスペンションのプリロードを適切に設定することで、タイヤが路面にしっかりと接地し、グリップ力(路面追従性)が向上します。
結果、ブレーキングや、コーナリング時の安定性が向上します。
4.個々のライディングスタイルへの適応
ライダーの体重、乗車姿勢、使用目的(ツーリング、スポーツ走行、オフロードなど)に応じて、プリロードを調整することで、それぞれのスタイルに合った最適なセッティングが可能になります。
5.ライディングポジションの最適化
プリロード調整で、バイクのライディングポジションが変わります。適切なプリロード調整により、ライダーの体重や、荷物の重さに応じてバイクの姿勢を最適化できます。
プリロード調整の目的と役割


「プリロード調整の基準、ポイントはどこですか?」
この問いに答えていきます。
プリロード調整のもっとも重要なポイントをあげると、ダンパーのストローク位置です。
サスペンションが伸び・縮みするストローク位置を調整して、タイヤの路面追従性を最適化するのがプリロード調整の目的です。
これだけだと、ピンとこないと思いますので、走行中のリアサスペンションの動作を見てみましょう。
YSSレーシングサスペンションを装着したSV650 オランダ TTサーキット・アッセン走行動画です。
一般的に公道と比較して、サーキットの路面は凹凸が少ないと言われています。
それでも大小の路面ギャップがあって、路面の状態に応じてサスペンションが動作している様子が、わかると思います。

ところ変わって、日本の公道。
写真はフリー素材ではなく、実際に私たちがリアサスペンション開発で走行テストをおこなっている場所のひとつです。
比較的、路面状態が良い道もありますが、アスファルトの一部がくぼんでいたり、剥がれていたり、減速帯があったり・・・けっこう、凹凸が激しかったりします。
プリロード調整の話に戻すと、このように変化する路面状態に対して、
路面の凹凸でダンパーが縮んだ時(フルストロークした時)、バンプラバーにダンパーが衝突しないように調整します。
逆にあまりにも「沈まなさすぎる」と、リアサスが動きにくい状態なので、乗り心地が悪くなります。(フィーリングとして、硬く感じます)
そのため、ダンパーがフルストロークした状態で2割ほどマージンがある状態を目安にします。
※メーカー初期設定でおおむねそのように調整されています
「ふだん走行している場所を、いつもどおりに走行して、2割ほどマージンがある」
これを基本の状態とします。
くわしい操作方法は、後述します。
プリロード調整2つの間違い
実例をもとに、多くの方が勘違いしている点や、誤解しがちなポイントを解説します。
逆に言えば、この章をしっかり理解することで、サスペンションを的確に理解し、一生ものの知識が身につきます。
プリロード調整でリアサスは硬くなる?
半分正しくて、半分まちがいです。
プリロード調整の目的は、ストローク位置を調整して、路面追従性を向上させることです。
プリロードを強くかけ過ぎると、乗り心地が悪くなる=硬く感じます。反対に、めいっぱいプリロードを抜くと、リアサスがよく動くため、柔らかくなったように感じます。
ただし、あくまで「感覚的に感じる」だけで、物理的な硬さは変化しません。
なぜなら、スプリングの硬さはバネレートで決まるからです。


巻き数、線径、スプリング内径・外径などによって、スプリングの硬さが変わります。
バネレートを表す単位
kgf/mm(キログラムフォース・パー・ミリ)またはN/mm(ニュートン・パー・ミリ)
数値が大きいほど、硬いスプリングになります。
例:「バネレート135N/mm」 → 1mm沈ませるためには、135Nの力が必要
繰り返しになりますが、プリロード調整は、スプリングの硬さを自在に変化させる効果はないです。
「じゃあ、なぜ、乗り心地が変わるのか?」

プリロード(イニシャル)は静止した状態、言い換えるとサスが沈む前のスタート時の状態を決めるものです。
イメージしてください。
あなたはバイクに跨がって、走り始めました。高速道路に入りました。
緩やかなカーブを、速度制限いっぱいの100km/hで曲がっています。おっと、路面に大きな凹凸がありました。危ないところでしたが無事、切り抜けました。
・・・
この時、プリロードを抜いた状態(A)、プリロードをかけた状態(B)、どちらもスプリングの最大沈み(縮み)具合は同じです。
赤線=スタート時
黒線=沈んだ(縮んだ)時

「なぜ、同じになるのか?」
理由はお分かりですね。どちらも同じ硬さのバネレートだからです。
バネの硬さが同じだった場合、めいっぱい沈んだ(縮んだ)時に差はありません。
Aのようにプリロードを抜いた状態からめいっぱい沈むと、その分、リアサスは大きく動作することになります。最初からある程度、プリロードがかかった状態のBは、抜いた状態のAよりも、動作が少なくなります。
このわずかな動作のちがいが、プリロード調整における硬さの変化の正体。
正確にいうと、「乗り心地が硬くなったり、柔らかくなる」変化の正体です。
あくまでフィーリングの話なので、変化を感じるライダーもいれば、まったく気づかないライダーもいます。
いずれにせよ、
・バネレートが同じなら、めいっぱいスプリングが縮んだ(沈んだ)時のストローク量は変わらない
・プリロード調整で物理的な「硬さ」は変わらない
という点がポイントです。
もし、物理的な硬さを変えたい場合は、スプリングそのものを交換することになります。
レースの場合
1つのサーキットで最低3種類のバネレートのスプリングを用意して走行し、最適なものを選びます。
平均速度120km/hで走るサーキットと、平均速度180km/hで走るサーキットでは、1.5倍もの差があります。
ということは、120km/hに合わせたバネレートのままだと、柔らかすぎますね。従って、1.5倍バネレートの高いスプリングに交換します。逆の場合、バネレートの低いスプリングに交換します。
日本の公道の場合、高速道路の最高速は100km/h(一部、120km/hの区間あり)ですので、サーキット走行のように極端な速度差が発生することはありません。
ですので、ストリート向けのリアサスペンションを公道で使用する場合において、「スプリング交換しなければならない」状況は前出のとおり、ごく限られた場合になると思います。
プリロード調整で解決できない
非常に多いので紹介しますが、
ダンパーが抜けたリアサスのプリロードを、最強にしているケースがよくあります。
「ダンパーの抜け=ダンパーオイルや、内部パーツの劣化」ですから、いくらプリロードを調整しても解決しません。オーバーホールするか、交換が必要です。
(もちろんダンパー調整したり、フロントフォークの場合も同じです。オイル劣化を調整でごまかそうとしても、焼け石に水です)
プリロード調整と車高調整のちがい
プリロードをかけると、シート高が高くなります。逆にプリロードを抜くと、シート高が下がります。
「足つき性を良くするためにプリロードを抜く」
こうした使い方もありますが、注意が必要です。
足つき性だけにフォーカスした結果、大きな路面のギャップを通過した際、サスペンションが底付きして破損・・・という可能性も十分、考えられるからです。
たとえば、外車・逆輸入車で、もともと装着されているスプリングのバネレートが高い(ライダーの体重が軽すぎる)場合、底付きしない程度にプリロードを抜く、という手法は有効です。
基本的にシート高を調整したい場合、プリロード調整ではなく、車高調整でおこないます。(もしくはローダウンキット)


一般的に、車高=シート高の意味合いで使われていますが、正確には別物です。
車高調整機能は各メーカーとも、調整幅は最大10mmまで。ネジ式になっているため、伸ばしすぎると、路面の凹凸を通過した際、衝撃で折れる可能性があるためです。
モノショックの場合、スペース的な理由により、ハイグレードモデルのサスペンションでも、車高調整機能がないものもあります。
プリロード調整前の確認

プリロード調整するにあたっては、事前に標準セット長を計測しておきましょう。
※各製品のスペックに記載しています
VT250 スパーダ用 ME302の例
スプリング自由長:150mm
標準セット長:138mm
基準プリロード量:12mm
自由長:スプリング正味(スプリングを取り外した状態)の長さ。
標準セット長:組み込んだ状態のスプリングの長さ。
基準プリロード:組み込んだ状態で、スプリングをどれだけ縮めているか?という数値。
プリロード調整する前に「標準セット長」を計測しておくと、締めたり、緩めた時にどの程度、変化したのか分かります。
(もし、わからなくなっても元の状態に戻せます)
なお、ネジタイプの調整方式のサスペンションは、溝に泥など、異物があると回りにくくなります。
汚れが激しい場合は水道水で洗うなどしてから、操作してください。
ダンパーロッドへの潤滑剤の使用は、ホコリやゴミの付着につながるため不要です。(拭き取る場合は使用可)

プリロード調整方法と工具
サスペンションによって、おおきく2種類のプリロード調整タイプがあります。
いずれの場合も、プリロード調整をおこなう場合は、タイヤを浮かせた(無負荷)状態で作業をおこなってください。
車重がかかった状態で調整すると、アジャスターが破損する可能性があります。
なお、底付きを繰り返す状態でリアサスを使用すると、破損や、転倒事故につながるため、ご注意ください。


純正サスペンションや、比較的、低価格なサスペンションに採用されているタイプのアジャスター。

YSSサスペンション Dio用をLEO120に流用

フックレンチ(Dio用 YSS付属品)
調整方法と仕組みを解説します。
ギザギザになっている山の部分を回すことで、スプリングのテンションを調整する仕組みになっています。
Dio用で例をあげると、プリロードを締め込む(強くする)と、白い矢印の方向へスプリングに力が加わって、スプリングが縮みます。
プリロードを強くするほど、スプリングの反発力が強くなるため、締め込むのが難しくなります。
Dio用で、センタースタンドをかけた状態で試したところ、フックレンチを使用して回せるのは最弱から+1段階目までで、2段目以降は、硬くて回せませんでした。

6段階調整(メーカー初期設定は最弱)

棒状タイプの工具(YSS付属品)
YSS MB302シリーズも、カバーで中が見えませんが、上記と同じタイプです。
前出の純正サスペンションと同様、棒状の工具を使って、プリロード調整するようになっています。
当店で販売しているTZR50/TZR50R用 MB302を取り付けていない状態(リアサスペンション本体だけの状態)で試しましたが、スプリングのテンションが高く、付属の工具を使っても、とても回せませんでした。
スプリングコンプレッサー

これまでご紹介した山タイプのサスペンションについては、スプリングコンプレッサーを使います。
リアサスペンションのスプリングを外す工具です。
バイクメーカーのサービスマニュアルを確認したところ、純正サスペンションについても、スプリングコンプレッサーを使用して、プリロード調整をおこなう旨の記載がありました。
ここまでの話をまとめると、
・メーカーを問わず、原則としてリアサスペンションは、車体に装着したまま、プリロード調整をおこなう前提で作られていない
・スプリングコンプレッサーを使って調整するのが原則
ということになります。
ガレージ湘南で販売しているYSSサスペンションについては、あらかじめライダーの体重などをヒアリングし、適切なプリロードに調整後、出荷しています。
TZR50/TZR50R用 MB302購入者の方へ
もし、プリロード調整が必要な場合、無理にご自分で調整せず、当店まで相談ください。
(ガレージ湘南で購入されたご本人様に限ります。譲受人・中古品購入者は対応不可)
ネジタイプ プリロード調整
プリロード調整する部分が、ネジ式になっているタイプのリアサスペンションです。


触ってはいけない箇所


ガレージ湘南で開発・販売しているモデルだと、たとえばNSR250R(MC18・MC16)/VT250 SPADA/CBR250RR(MC22)/CB125T(JC06)など、ME302シリーズが該当します。
黒色のサスペンションはツインショック YSS RZ362シリーズ。
いずれも、写真矢印のボルトを緩めると、封入されているガスが抜けてしまうため、触らないようにしてください。ガスが抜けると使用不可になります。(分解式サスペンションのみ有償で充填可能)
プリロード調整 実践編


1,プリロード調整をおこなう前にゴミやほこりを取り除く
ネジ山部分に異物があると、うまく回らなくなります。
清掃した上で、シリコン系潤滑剤をネジ山に塗布すると、スムーズに回るようになります。
2,ウォームねじを緩める
アジャスターが回らないようにするためのネジですが、実際にはアジャスターが緩むことはないため、あまり強く締めないようにしてください。
3,工具を差し込んでプリロード調整をおこなう
アジャスターのくぼみに、まっすぐ工具を当て、ゆっくり回します。YSS付属の工具は、前出のMB302と同じ棒状のものです。

タイラップ(結束バンド)をストロークセンサー代わりに使用すれば、最も沈んだ時のストローク位置がわかりやすくなります。
デメリットとして、ダンパーロッドに傷が入ることがあるので使用には注意が必要です。(写真はテスト走行時のもの)
ポイント:
1,新品サスペンションに交換後、慣らし走行100kmを目安とする。
2,ふだんバイクに乗る装具で、ふだん走行している場所をいつもどおりに走ってみる。
3,ストローク位置を確認する。(乗っていて必要性を感じたら調整する)
1段階だと、プロライダーでも変化がわかりません。ネジタイプの場合は3回転を目安に、山タイプは2段階以上変えると、変化が分かりやすくなると思います。
目的別プリロード調整と効果
◆ダンパーがフルストロークした際、マージンが少なすぎる/底付きする
時計回りに回す:スプリングにかかるテンションが強くなる(プリロードをかける)
効果:ダンパーのストローク位置が上に移動する。シート高が高くなり、重心が高くなる。タイヤを路面に押しつける力が強くなる。デメリットとして、路面追従性が低下したり、タイヤの摩耗が早くなる。
フィーリング:ストローク時の挙動が少なく、人によっては「硬く」感じる人もいる。
◆ダンパーがフルストロークした際、マージンが多すぎる
反時計回りに回す:スプリングにかかるテンションが弱くなる(プリロードを抜く)
効果:ダンパーのストローク位置が下に移動する。シート高が低くなり、重心が下がる。タイヤを路面に押しつける力が弱くなる。路面状態が悪い(サーキットでの雨天走行や、オフロード走行など路面のグリップが低い)場合、プリロードを弱くする。
フィーリング:ストローク時の挙動が大きくなり、人によっては「柔らかく」感じる人もいる。
最後に
本章ではリアサスペンションの基礎的な仕組みや、調整機能の基本であるプリロード調整に特化して、解説しました。
サスペンションセッティングは奥が深く、たとえば「硬い」「やわらかい」と言っても、人によって感じ方はさまざまです。バイク、タイヤ、走行環境、路面の状態によって変わりますし、走り重視か、快適性重視かによっても変わってきます。
サーキット走行なら「タイム」といった明確な基準がありますが、公道にはありません。
だからこそ、さまざまなトライと変化を追求するのも、楽しいものです。
YSS用 プリロード調整工具
ネジタイプのプリロード調整も、締め込む(プリロードを強くする)ほど、テンションがかかって回りにくくなるのは、先ほどの山タイプと同じです。
また、モノショック(1本サス)は取り回しに余裕がなく、リアサスを装着した状態でのプリロード調整が、むずかしかったりします。
(前出の棒状の工具だと長すぎる)
これらの点を考慮し、ガレージ湘南ではリアサスを取り付けた状態でプリロード調整しやすいよう、独自の工具を製作しています。改良を重ねて、強度・省スペースに配慮した工具の製作に至りました。
単品販売もしています。


鈴鹿8耐 VFR750R RC30/RVF750 RC45
代表 兼 お問い合わせ担当
日向 正篤(ひゅうが まさあつ)
湘南工科大学卒。ロードレース国際A級ライダー。
MCFAJエキスパート500クラス 3年連続シリーズチャンピオン(1987年-1989年)。
ガレージ湘南を経営するかたわら、みずから製作したマシンで鈴鹿8時間耐久ロードレースに15年連続参戦(1983-1998年)。
インドや韓国、インドネシア、マレーシア選手権のほか、公道レースマカオGP、もて耐やSUGO6時間耐久レースなど、国内外のレースに出場。
かつてはオーリンズのプロショップ。MVX250Fや、GSX-R1000、VTR1000用にモディファイしたオーリンズ製リアサスペンションなどを手がける。
※プロショップ
サスペンションのセッティング、アドバイス、メンテナンス・オーバーホール、カスタムチューニングなど、ライダーのニーズや走行環境に合わせてサスペンションの性能を最適化する専門店
>> プロフィール詳細