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化学合成油を入れると漏れる? それはオイルのせいではなく、エンジンが「歪んでいる」証拠です。

旧車用オイルを使用して焼き付いた事例を解説

​エンジンオイルは、エンジン寿命を大きく左右する重要なパーツの一つです。

にもかかわらず、エンジンオイルについては、あまり詳しく知られていません。そのため古い情報や、誤った情報を鵜呑みにしている方がよくいらっしゃいます。

オイルは、ただでさえ複雑な上に、表示の仕方が統一されておらず、メーカーによってバラバラです。

オイル性能を評価する「規格」はありますが、いくつも規格があり、それぞれ評価基準が異なるため、一般のライダーにとって、非常にわかりづらいのが原因だと思います。

 

その中で、とくに多いのが「空冷エンジン、旧車には鉱物油がいい」という神話です。

どういう理由でそう思うのですか?と尋ねると、

 

「バイクメディアに書いてあったから」

「インターネットにそう書いてた」

 

という返事が返ってきます。

たしかにインターネットは情報収集に便利です。

ただ、その情報が信用できるかどうかは、読む側が自分で判断しなければなりません。雑誌やバイクメディアも同じで、書いてある内容が全て正しいとは限らないのです。

当店には、1970〜1980年代の空冷バイクに乗るお客さまが多くいらっしゃるため、当店のエンジンオイルに対する見解をお伝えします。

私(日向)は、創業期のワコーズオイル(株式会社和光ケミカル)開発にライダーとして携わりました。​

ワコーズ 鈴鹿8耐 1985年

鈴鹿8時間耐久ロードレース 1985年

1985年 鈴鹿8耐 ワコーズカラー GSX-R750に乗る日向正篤

GSX-R750 1985年

鈴鹿8耐 ワコーズカラー GSX-R750

GSX-R750 1986年

1986年 鈴鹿8耐 ワコーズカラー GSX-R750に乗る日向正篤

鈴鹿8時間耐久ロードレース 1986年

RC30 RC45 鈴鹿8耐 日向正篤

鈴鹿8時間耐久ロードレース RC30/RC45

鈴鹿8時間耐久ロードレースに15年連続で参戦し、その中で10社ほど、国内外メーカーの有名オイルを使用しました。

レース活動実績

 

国内:全日本ロードレース選手権、MCFAJエキスパート500クラス 3年連続シリーズチャンピオン、もて耐、エビス耐久、SUGO6時間耐久レース、バトル・オブ・ザ・ツインほか

海外:公道レース マカオGP、インド、韓国、インドネシア、マレーシアの選手権

レース活動と並行してガレージ湘南を経営し、1985年から現在まで、一般公道を走るライダーの方々と関わってきました。

通勤、通学、ツーリング、峠、サーキット走行、飛ばす方、飛ばさない方、バイクの車種や用途、ライダーの性格や運転の仕方・・実にいろんな方々がいらっしゃいます。

またエンジンオーバーホール専門店として、1,100基以上の実績があります。

50ccから、絶版車、リッタースーパースポーツ、レース車両、あらゆるエンジンを手がけています。

さまざまな経験を踏まえた上での話になります。

10万km超えのスクーター

代表 日向の社用スクーター シグナス(ヤマハ)はエンジンオーバーホールなしで、走行距離10万kmを超えました。

​オーバーホールなし。定期的なオイル交換以外、特別な事をなにもしていません。異音や振動なく、始動性も良好です。

​​

※2026年1月現在

シグナスや、ハイエースなどでも日常的にオイルテストをおこなっています。

焼きついたエンジン部品

焼きついたエンジン部品

エンジンオイルが劣化すると、金属同士が摩擦し、部品が摩耗したり、摩擦熱で焼き付きが発生しやすくなります。

たとえばピストン、シリンダーの焼きつきや、クランクシャフト(コンロッドメタル)の焼き付きです。

オイル性能が低下するにつれて、上記パーツのほか、カムシャフトなど部品摩耗が促進されます。

古い空冷エンジンだからこそ、合成油

と私は考えています。

まずはよくある「3つの誤解」について、検証していきましょう。

誤解①「昔のエンジンはクリアランスが広い」

「昔」が、どの年代のバイクを指すのかはわかりませんが、現行モデルと比較した場合、昔のほうが、部品の精度が低いのは確かだと思います。

ただ、それは同じ年代に生産された水冷エンジンも同じです。

「空冷エンジンだから部品の精度が低い」というのは、根拠にとぼしく、誤った認識だと思います。

次にクリアランス(ピストンとシリンダーの隙間)について。

わたしは述べ1,100基以上のエンジンをオーバーホールしていますが、空冷エンジンが特段、クリアランスが広いと感じた事はないです。

走行距離を重ねるなどして、ピストンリングやシリンダーが摩耗したエンジンなら、クリアランスが広くなっても不思議はありません。

ですが、それは空冷エンジンに限らず、水冷エンジンにも同じ事が言えます。

・・・

(新車時の)水冷エンジンと空冷エンジンを比較した場合、熱量が多い空冷の方が、クリアランスが広くとられているのは事実です。

 

ただ、それはあくまで両者を比較した場合の話

 

実際は、適切なクリアランスはエンジンごとに異なります。

 

ですから単純に「空冷エンジンはクリアランスが広い」と考えるのは大きな誤解です。

​​誤解②「化学合成油はゴムシールを攻撃する」は昔の話

1970年代、100%化学合成油(フルシンセティック)が出始めた頃は、PAO(ポリαオレフィン)やエステルなどが、オイルシールを痛めるといわれていました。

しかし、それは何十年も前の話です。

現在は中和剤などが使用されていて、改良されています。

ほかにも、空冷エンジンに対して、化学合成油を使用する否定的な意見は多々ありますが、詰まるところ、

「オイルが滲む。オイルが漏れるから鉱物油を使う」

といった考え方に集約されます。

そもそも、エンジンオイルの役目は何でしょう?

エンジンを保護したり、長持ちさせる事より、オイルが滲まない事のほうが重要なのでしょうか?

「オイルが滲むから、性能に劣る鉱物油を使う」

「滲まないオイルがいい」

気持ち的には理解できますが、冷静に考えると、本来の目的を見失っていることが分かるかと思います。

エンジンを保護することが本来、オイルの役目だからです。

​​

(反対意見を持つ人もいるでしょうが、このホームページをご覧になっている方の多くは、「愛車にできるだけ長く乗り続けたい」という方だと思いますので、あえて言わせていただきました)

誤解③「高粘度の鉱物油なら漏れない」の落とし穴

結論から言うと、エンジンが焼き付く可能性があります。

「旧車用 鉱物油」というコンセプトで、​20W-50など、粘度の高いオイルが販売されています。

場合によっては、オイル漏れを防ぐことはできるかも知れませんが、多くの方がご存じない、盲点があります。

「旧車」って、どの車種を指すのか?

定義がありませんね。いつの年代のマシンを前提としているのか、空冷用なのか、水冷も含まれているのか・・・生産終了になった時点で旧車なのか・・・。

はっきりと、「○○年代の空冷車用です」とか、「(車種名)用です」とは、書かれていません。

1980年代後半の、水冷400ccの高回転型エンジン(レーサーレプリカ)に「旧車用 高粘度鉱物油」を使用したら、クランクシャフトが焼き付いた、という事例があります。

(エンジンオーバーホールして納車した後、オーナーさんがご自分でオイルを交換)

ある程度、エンジンやオイルの知識があれば、水冷高回転エンジン(メタルクランク)のマシンに鉱物油、しかも高粘度オイルを使用するという事は考えられません。

ですが、一般のお客さまは違います。

商品に「旧車用」と書かれていたら、「自分のバイクも旧車だし、オイル漏れが直るかも」そう思ってしまいますね。

2010年に生産されたマシンも、2000年代、1990年代、1980年代、1970年代・・・どれも、2026年現在からすると、「旧車」には違いありません。

しかし現実には、エンジンが設計された年代や、空冷と水冷、エンジンの機構や排気量によって、まったく事情が変わってきます。「旧車だから全部、おなじ」ではないのです。

高粘度の鉱物油を使ってはいけない理由

【基本的な前提条件】

一般的な「旧車用オイル(例:15W-50/20W-50 鉱物油)」は、

 

空冷Z系エンジンや、ハーレーのような「空冷・大排気量車」で比較的、クリアランス広めのエンジン、クランクシャフトがベリングタイプのエンジン用に設計されています。

1980年代後半から、2000年にかけて販売されていた水冷エンジン(レーサーレプリカを含む)には使用しないことです。
 

冬場の鉱物油の弱点
 

原油から精製される鉱物油には、微細な不純物として「ワックス(ロウ)成分」がどうしても残留しています。

低温になるとワックス成分が結晶化しやすく、化学合成油と比べて、極端に流動性が落ちます(水飴のように固くなる)。

始動直後の「潤滑不能」
 

冬の寒さで、高粘度鉱物油はドロドロに硬化しています。


エンジンを始動直後、オイルポンプは回りますが、オイルが硬すぎて(結晶化して)なかなか吸い上がりません。オイルが、瞬時に狭いオイルラインや、メタルの微細な隙間に入り込むことができないのです。
 

仮に、エンジンのヘッド(カムシャフト)にオイルが届くまで、「10秒」かかるとしましょう。

その間、金属は無潤滑で削れます。朝一番の始動(ドライスタート)がまさにそれです。

いっぽう、100%化学合成油(全合成油/合成油/半化学合成油とは別物)は、おなじく寒い時でも、オイルは柔らかい状態のままです。


ですから、エンジンを始動して、オイルポンプが回った瞬間にスッと吸い上がります。

 

気温が同じでも、100%化学合成油なら、「3秒」でヘッドにオイルが届きます。

例:SAE粘度グレード(オイル缶ラベルに表記されている数字)

15W-50 鉱物油

15W-50 100%化学合成油

を比較した場合の話です。

SAE粘度グレードとは: 「どこからどこまでの気温なら動けますか?」 という範囲の表示。

15Wの意味:寒さへの限界値(低温始動性)を示します。15Wは、理論上の限界(流動限界)が マイナス20℃ 〜 マイナス25℃まで、エンジンがクランキング(回転)できます」という事を意味します)

50の意味:暑さへの抵抗力(高温粘度)、つまり「エンジン内部が超高温(100℃以上)になった時の油膜の厚み」をあらわしています。

ここで注意すべきポイントは、「SAE粘度グレード」は、オイルそのものの硬さ(粘度)を現しているわけではない、という点です。

 

おなじ15W-50のオイルでも、合格ギリギリラインで規格にパスしたオイルと、余裕で合格したオイルでは、性能差があるのは、容易に想像がつきますね。​(スペック表の読み解き方は、後述します)

焼き付いたエンジンを検証

​先ほどのレーサーレプリカのエンジンを分解して検証したところ、まさに、上記で解説した現象が、クランク焼き付きの要因になった可能性が大となりました。

(以下、お客さまからヒアリングした内容を元に推察)

1,冬場に高粘度 鉱物油(旧車用)を使用した

2,十分な暖機運転をおこなわなかった

水冷の場合、水温が上昇しても、油温が上がるまで時間がかかります。

3,クランクメタルがクランクシャフトに貼りついた

4,通常、エンジンから異音がするが、マフラーが爆音で気づかなかった

サーキット走行がメインのライダーは、ふだんからエンジン音に注意しているため、異音があればすぐ、エンジンを停止して、致命的なダメージを回避する事があります。

公道ライダーの場合、(環境的に)エンジン音だけに集中するわけにはいかないので、気づかない場合があると思われます。

クランクシャフトの種類と特徴

カワサキZ1 / Z2エンジンのほか、単気筒や2ストロークエンジンで採用される組み立て式クランクシャフトです。

メリット
 

  • 摩擦抵抗(フリクション)が少ない
    転がり抵抗が低いため、エンジンのレスポンスが良く、パワーロスが少ないです。
     

  • 潤滑油が少なくても焼き付きにくい
    プレーンベアリングのような高い油圧が不要なため、オイルポンプを小型化できたり、2ストロークエンジンのような潤滑方式(混合給油)が可能になります。

     

  • 構造を薄く(幅を狭く)できる
    単気筒の場合、組み立て式の方がクランクケースの幅を抑えやすく、スリムな車体を作りやすいです。

     

デメリット
 

  • 剛性が低い
    一本物に比べて、圧入部分がズレたり、ねじれたりするリスクがあります(高出力化・高回転化に限界がある場合がある)。

     

  • 製造・修理コストが高い
    高精度な圧入技術が必要です。また、オーバーホール時に「芯出し(ズレの修正)」という職人技のような作業が必要になります。

一体式クランクシャフト(プレーンベアリング)

採用例: CB400SF / CBR1000RR/ Ninjaシリーズ/ 隼など多数

 

一本の鉄の棒から作られた一本物のクランクシャフト。

 

組み立て式のように分解することができないため、以下の仕組みでコンロッドを取り付けます。

コンロッド側を分割する:クランクシャフトが分解できない代わりに、コンロッドの大端部(クランクに繋がる穴)をキャップのように「パカッ」と2つに割れる構造にします。(上記の写真参照)
 

プレーンベアリング(メタル)を使用:ベアリングも同様に、半円状の金属板を2枚合わせた「分割式」を使用します。これをコンロッドとクランクの間に挟み込みます。

メリット(高性能車に採用される理由)

 

  • 圧倒的な剛性と高回転への耐久性
    一本の金属の塊であるため、物理的に「ねじれ」や「ズレ」が起きません。15,000回転を超えるような超高回転まで回してもクランクが歪まず、エンジンの振動も抑えられます。

     

  • 静粛性と滑らかな回転
    使用するプレーンベアリング(メタル)は、金属同士が油膜で浮いている状態です。ベアリングの転がり音(ジャー音)がなく、油膜がダンパーとなって微振動を吸収するため、非常にシルキーで静かなエンジンになります。

     

  • 長寿命(メンテナンスフリー)
    理論上、金属同士が接触しないため摩耗しません(適切なオイル管理があればの話)。組み立て式のように「ベアリングが砕ける」というトラブルはまず起きません。

     

  • コンロッドを軽量化できる
    組み立て式のコンロッドは大端部がリング状で大きくなりがちですが、一体式用の分割コンロッドは、ボルト留め構造でコンパクトに設計できます。


デメリット

  • 大きなフリクション(抵抗)
    粘度の高いオイルの膜をせん断しながら回るため、特に冷間時や、始動時の抵抗が大きいです。たとえば、クランクを手で回すと、組み立て式は「クルクル」回りますが、一体式は「ヨッコイショ」と重く回ります。

     

  • 重厚なオイルシステムが必要
    常に高い油圧で軸を浮かせる必要があるため、強力なオイルポンプや、複雑なオイルラインが必要です。

     

  • 焼き付き=即死
    一瞬でも油膜が切れると(オイル切れや劣化)、メタルが焼き付き、クランクシャフトそのものが再起不能になります。

     

  • 修理コストが極大
    焼き付いた場合、クランクシャフトをまるごと交換になるケースが多く、組み立て式のように「ベアリングだけ交換」という修理ができません。(とくに旧車の場合、新品クランクシャフトの入手は絶望的です)

旧車用オイルを使用して焼き付いた水冷エンジン(プレーンメタル)

CBR400Rエンジン焼き付き
nc23エンジン焼き付き
CBR400Rコンロッド焼き付き
CBR400Rエンジン破損

どうしても高粘度の鉱物油を使う場合

さきほどの前提条件を踏まえた上で言うと、

 

​とくに冬場は、しっかりと暖機運転をおこなうことです。しっかりとエンジンが暖まらないうちに高回転まで回すと、非常にリスキーです。

念のためにもう一度、言いますが、80年代後半以降の水冷エンジン、メタルクランクのエンジンには、高粘度オイルを使用しないほうが賢明です。

(オイル漏れを気にするあまり、エンジンが焼き付いてしまっては、元も子もありません)

オイル表記の読み解き方

​100%化学合成油

BIKE FS HR Ver3 15W-50 MA

  • 動粘度(40℃ mm2/s (cSt)):118.70

  • 動粘度(100℃ mm2/s (cSt)):17.25

  • 粘度指数:160

  • 流動点:-45以下

​鉱物油

BIKE 15W-50 MA

  • 動粘度(40℃ mm2/s (cSt)):122.40

  • 動粘度(100℃ mm2/s (cSt)):17.15

  • 粘度指数:153

  • 流動点:-27以下

SAE粘度

上記の例:

「15W」寒さへの限界値(低温始動性)

「50」暑さへの抵抗力(高温粘度)

粘度に関しては、ご自身のバイクに設定されているメーカー指定粘度を確認しましょう。(エンジンのクリアランスや、オイルポンプの性能も、それに合わせて設計されています)

オイル粘度指数

粘度指数は、「基礎体力(品質)」のようなもので、オイルメーカーのデータ スペックに記載されています。

​​​​​

粘度指数:温度変化に対して、どれだけ「性能が変わらないか(安定しているか)」という能力値。数値が高いほど、極寒でも、高温下でも、安定していることを示す。

動粘度(40℃ mm2/s (cSt))

常温の始動性。上記のデータを見ていただくとわかるとおり、100%化学合成油は「118.70」、鉱物油は「122.40」と、SAE粘度が同じ規格でも、鉱物油のほうが硬いです。

つまり、春、夏、秋にかけては、40℃動粘度が低いオイルのほうが、始動直後のレスポンスは軽く感じるわけです。

暖機運転への影響

40℃動粘度の数値が低いオイル(上記の例だと「BIKE FS HR Ver3 15W-50 MA」)のほうが、温まるのが早くなります。

​数値が高いオイルは、完全に温まるまで時間がかかります。

真冬はどうなるのか?

注目すべきポイントは、40℃動粘度ではなく、さきほどの「W」と、「粘度指数」です。

40℃の動粘度は、あくまで「常温(春や秋の気温)」での硬さを示す指標であり、真冬の早朝などの「本当の冷間時(0℃以下など)」の硬さを、正確に比較することはできません。

なぜなら、オイルには「冷えると急激に硬くなる性質(温度依存性)」があり、その変化の仕方がオイルによって全く違うからです。

つまり、40℃では勝っていても、0℃では負けることがあります。

【例:2つのオイルの比較】

  • オイルA(100%化学合成油): 40℃粘度「100」 / 粘度指数 160
     

  • オイルB(鉱物油): 40℃粘度「90」 / 粘度指数 100

比較結果:
 

  • 40℃の時点:オイルBの方が数字が小さいため、「オイルBの方が柔らかい」です。
     

  • 0℃の時点:粘度指数の低いオイルBは、冷えると急激にドロドロに固まります。一方、オイルAはサラサラを保ちます。
     

  • 結果、エンジンをかける時(0℃)は、「オイルAの方が圧倒的に柔らかい(軽い)」という逆転現象が起きます。​​

結論:40℃の数字だけを見て「こっちが柔らかいから、冬も安心だ」と思うと、痛い目を見ます。

もっとも重要で実践的な数字

動粘度(100℃ mm2/s (cSt))

40℃の数字が「始動時)」なら、100℃の数字は「走行中」の油膜の厚みを表しています。

なぜなら、エンジンが完全に温まった時の油温は、だいたい90℃〜110℃付近になるように設計されているからです。つまり、あなたがアクセルを開けて走っている時の「本当のオイルの硬さ」は、この数字で決まります。

​夏の渋滞

空冷大排気量エンジンのハーレーは、「気温約36℃の環境でアイドリングを続けた場合、約1時間でオイルタンク内の油温が約151℃に達した、」という記録があります。

 

多くの鉱物油ベースのオイルは、120℃〜130℃を超えると酸化が急激に進み、粘度維持能力を失います。150℃という温度は、一般的なオイルにとって「機能停止」を意味する領域です。

「15W-50」、「10W-40」の後ろの数字は、「100℃での動粘度がいくつなのか」という基準で決められています。

  • SAE 30番: 9.3 〜 12.5 mm2/s

  • SAE 40番: 12.5 〜 16.3 mm2/s

  • SAE 50番: 16.3 〜 21.9 mm2/s

  • SAE 60番: 21.9 〜 26.1 mm2/s

30番、40番・・・が、「10W-40」の後ろの数字です。

ここからが本題ですが、

同じ40番でも、かなり幅があることに気づかれたと思います。「40番だけど、30番に近いサラサラしたオイル」もあれば、「40番なのに50番に近い、ドロドロしたオイル」もある、という事です。

当店、メインオイルのデータを例にしますと

SAE 40番: 12.5 〜 16.3 mm2/s

BIKE FS HR VER3 10W-40

動粘度(100℃ mm2/s (cSt)):13.47

​40番のなかでは、柔らかい方になります。15.5以上になると、おなじ「10W-40」でもかなり硬めのオイルになり、保護性能は上がりますが、エンジンのレスポンスは重ったるくなります。

混同しやすいポイント:

「硬いオイル(たとえば15W-50)を使えば、夏場でも焼き付きにくくなる」

「油膜が厚い」=「油膜強度が強い」(焼き付きにくい)ではありません。

油膜の強さを現す数字は、HTHS粘度(High Temperature High Shear Viscosity 高温高せん断粘度)です。

油温150℃という過酷な状況で、高速で回転させながら圧力をかけた時の粘り強さ。

これが高いほど、本当の意味で「油膜が強い」と言えます。

 

「PAO」や「エステル」を使っているオイルは、必然的にこのHTHS粘度が高くなります。

​オイル滲みの根本的な原因

鉱物油と比較した場合、化学合成油はオイル分子が細かく、浸透性が高いため、オイル滲みが発生しがちです。

 

裏を返せば、オイルが滲むということは、きちんとオイルが浸透している証拠といえます。ところが、空冷エンジンに化学合成油を使用しても、100%の確率でオイルが滲むわけではありません。

 

なぜ、オイル滲みが発生するのか?

 

根本的な原因は、主にガスケットの劣化や、熱によるエンジンの歪み(ひずみ)です。

 

エンジンにすき間が発生して、そのすき間から(浸透性の高いオイルだと)滲みが発生するわけです。

空冷エンジン オイル漏れ

CB750F RC04

エンジンはいくつもの部品で構成されていて、複数の接合面があります。

 

通常は密閉されていますが、ガスケットの経年劣化や、パーツの歪み(ひずみ)で、少しずつ、すき間ができてきます。

そのため、とくに旧車はガスケットを交換するだけではなく、「面研」(クランクケースの合わせ面を平らに研磨する)などの作業が必要です。

もし、化学合成油を使用して、絶え間なくオイルがしたたり落ちるようなら、ガスケットが劣化していたり、例えばクランクシールが劣化しているなど、致命的なダメージを抱えている可能性が高いです。

 

鉱物油でごまかしたところで、トラブルが発生するのは時間の問題です。

ちなみに、

「空冷エンジン向け」をうたった鉱物油も販売されていますが、それは鉱物油が性能的に優れているからという理由ではなく、単純に売れるからです。

「空冷エンジンには鉱物油がいい」

「高粘度オイルがいい」

そう信じている人が多いため、高粘度の鉱物油が売れるそうです。潤滑油メーカーとしては「そうじゃないんですよね」というのが本音だそうです。

「多くの人が言ってるオイルの常識は、30年〜40年以上前の話ですよ」

​という意見もありました。

エンジンオイル6つの基本性能

1、潤滑性能(金属同士が焼き付かないよう潤滑して、エンジン内部の動きを滑らかにする)
 

2、密閉性能(油膜でピストンとピストンリングの隙間を埋めるなど、エンジン内の気密性を保つ)
 

3、清浄分散性能(エンジン内部にカーボンや、スラッジなどの汚れが固着するのを防止する)
 

4、応力分散性能(一部分にかかる強い力を広い範囲に分散させる)
 

5、冷却性能(エンジン内部を冷却してオーバーヒートさせない)
 

6、防錆性能(金属表面に付着してエンジン内のサビの発生を防ぐ)

上記は代表的なオイル性能です。

ベースオイルに、さまざまな添加剤を合わせたものがエンジンオイルです。

(おおまかに「ベースオイル8:添加剤2」の割合と言われています)

目的に応じて、使用する添加剤の量や、質を決めます。

 

良質なベースオイル、良質な添加剤を使用し、きちんとテストを行っているオイルほど、生産コストが高くなるため、販売価格も高くなります。

極端に安いオイルは、たとえば清浄分散性能が乏しく、エンジン内に汚れがたまりやすかったり、オイル交換後、上記の性能が長続きしないなど、必ずデメリットが存在します。

​​​

つまり、基本性能ができるだけ長持ちするオイルが、良いオイルと言えます。

その点において、化学合成油ではなく、あえて鉱物油を使うメリットは少ないと思います。

もちろん鉱物油にもメリットはあります。

・たまにしかバイクに乗らない(走行距離が少ない)

・エンジン保護や運転時のフィーリングより、コストを優先したい

こうした方ですと、鉱物油がいいかもしれません。

しかし「愛車にできるだけ長く乗り続けたい」「好調な状態を維持したい」という目的からすると、化学合成油・鉱物油それぞれのメリット・デメリットを考慮しても、化学合成油をお勧めします。​

ガレージ湘南はVerity(ベリティ)オイル取扱い店です。

20年ほど前から三和化成工業のベリティオイルを使用し、現在は「VERITY BIKE FS HR VER3(10W-40)」がメインになっています。

ベリティ バイク用オイル
ベリティ バイク用オイル
VERITY BIKE FS HR VER3
GSX-R1000 ガレージ湘南 yss

代表 日向のレース用 GSX-R1000

10w-40 化学合成油 バイク

VERITY BIKE FS HR VER3 10W-40 ​スペック

バイク オイル 10w-40 おすすめ
主な特徴
・特に耐熱性に優れ、スラッジの発生が少なくエンジン内が汚れ難い
・バイクレースの高回転高負荷による過酷なせん断力を受け て粘度低下する事を防ぐ為、敢えてエステル+PAOの設計で5Wではなく10W-40 とし、シャープなレスポンスを実現
・耐久レース等、各種レースに使用可能
・ほとんどの一般4サイクルバイクに使用可(MB適合車を除く)
​※公式サイトより引用

簡単にいうと、耐熱性、耐摩耗性、耐焼き付き性に優れ、粘度が低下しにくく、オイル寿命が長いオイルです。

事実、VERITY BIKE FS HR VER3(100%化学合成油)はエンジンにとって世界一、過酷な鈴鹿8時間耐久ロードレースで、入賞実績があります。

​「レース用オイルと市販オイルは別物」

 

が一般的ですが、レースで使用されているオイルと同じです。

もちろんストリート用として使用できます。

当店では空冷Z系・GPz系、ZEPHYR、CBシリーズ、XJシリーズ、GSシリーズ、刀など、空冷エンジンに使用しています。

空冷ハーレー、DUCATI、トライアンフにも使用していますが、正常なエンジンではオイル漏れ、トラブルはありません。

​​

ほかにもCBR1000RRや、GSX-R1000などスーパースポーツのほか、GSX1300R隼、ZZ-R1100といったメガスポーツ、ZRXや水冷CBシリーズ、小排気量バイクなど、あらゆる車種に使用しています。

CBRやVFR、RVF、FZRなど、80年〜90年代のレーサーレプリカ、水冷エンジンにも最適なオイルです。

「どうしても、高粘度オイルがいい!」

 

という空冷車オーナーは、「15W-50」(100%化学合成油/鉱物油)それぞれラインナップされているので、ご覧になってください。

ベリティオイル公式

三和化成工業株式会社とは

 

国内バイクメーカー、某自動車メーカー純正オイルをOEM生産している老舗の潤滑油会社。

バイク・自動車用エンジンオイルのほか、チェーンオイル、ガソリン添加剤、防錆剤などケミカル用品を販売しています。

​​

ほとんどのオイルブランド(オイルメーカー)は、自社に工場を持たない「企画・販売会社」ですが、同社は横浜・静岡に工場で開発・生産までを一貫しておこなっています。

​​

長年のOEM(またはODM)生産で蓄積されたデータ・ノウハウを基につくられたのが自社ブランド「ベリティ」です。​​​​

​​​

OEM製品と自社製品のちがい

​​​​

OEM(受託製造)はバイク製造メーカー、またはエンジンオイル販売メーカーが指定する予算や、レシピで、潤滑油会社がつくる製品です。

​​

発注元がオイルの仕様を細かく指定するのがOEM(たとえばヤマハのオイル)。潤滑油会社がリクエストに応じて仕様を決める「ODM」(企画・設計・開発から製造までを一貫して受託)もあります。

​​

自社製品である「ベリティ」オイルは(もちろん上限はあると思いますが)基本的には予算・納期など比較的、制限のゆるやかな状態で、こだわって開発することができます。

​だから製造元が同じでも、PB(ホームセンターなどのプライベートブランド)製品とは別物のオイルになります。

なお、三和化成工業のメイン事業はOEMのため、ほぼ、ベリティオイルを広告宣伝していません。従って、レース関係者以外の知名度は低いです。

言い換えると、広告宣伝費を製品価格に上乗せしている他ブランド製品と、一線を画したオイルです。

​(例えばMotoGPなどで使用されるオイルは、知名度が高い反面、莫大な広告宣伝費がかかっていますし、輸入オイルには輸送コストがかかります)​​

6万kmほどテストしたお客さん

20年ほど前の空冷バイクに乗っているお客さまで、ご自身で6万kmほど、化学合成油をテストした方がいます。

(VERITY BIKE FS HR VER3含め、各メーカーの化学合成油、空冷用鉱物油を試されていました)

オイル漏れはもちろん、オイル滲みも全く起きず、よく言われるオイルの減り(燃焼)も、目視で確認できる範囲では、まったく見られなかったそうです。

「インターネットのうわさ話なんて、あてになりませんね・・・。

よく考えたら、たった1回オイルを換えただけなのに、素人が「オイルが漏れたり滲むのは、化学合成油が原因」と、断定できる根拠が謎です。

私も素人だけど、オイルだけじゃなく、ほかの箇所に不具合が発生している可能性を疑いますよ。

そもそも、もし本当にオイル漏れや、オイル滲みの原因が化学合成油のせいなら、すべての空冷エンジンでオイルの漏れや、滲みが発生しないと理屈に合わないですよね。」

と仰ってました。

 

(最終的に化学合成油を常用して、走行距離8万kmでオイル滲み・白煙ゼロでした)

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