エンジンの寿命 部品の状態で比較
「(メーター改ざんがなくても)走行距離とエンジンの状態が、かならず比例するとはかぎらない」
「バイクの扱い方や走行環境、メンテナンスによって同じ車種、同じ走行距離でも、エンジンのコンディションは1台1台異なる」
お問い合わせ時やブログなどで、お伝えしていますが、やはり実物を見ないことにはイメージがわかないと思います。
そこで、わかりやすい事例を紹介させていただきます。(空冷二気筒)
走行距離19,183kmで焼き付いたCB125T純正ピストン
走行距離47,968kmのCB125T中華製142ccピストン。リング交換すればまだまだ使える状態でした。
同じ車種ですが、年式・オーナーさんは異なります。焼き付きの原因はエンジンオイルが入っていなかったこと。個人売買で購入後、帰宅途中でエンジンが止まったそうです。
いっぽう走行距離47,968kmのピストンは、当店でボアアップキットを組まれたお客さまのものです。
「中華製のキットだし、すぐ壊れるにちがいない」
ボアアップを依頼されたオーナーさんは当初、そう思っていたそうです。ところが当店代表 日向のアドバイスどおり、化学合成油のエンジンオイルを使用し、油温管理(暖機運転を含む)を徹底。
結果的にCB125Tを降りるまでノントラブルで走っていました。(オイル漏れ、にじみ、白煙なし)
走行距離19,183kmで焼き付いた純正シリンダー。1番シリンダーに縦の傷が入っていました。
走行距離47,968kmの中華製142ccシリンダー。十分、再利用できる状態でした。
走行距離8万キロ超えのエンジンを分解してみました
ボアアップキットを組んだオーナーさんが降りる際、当店でエンジンの状態を検証する事になりました。
シリンダーヘッドは、バルブガイドのガタは全くなし。バルブシート(リング)も軽い修正で十分使える状態。
カムシャフトは多少傷があるものの、メーカー規定値の範囲内でした。
一部パーツではあるものの、2.5倍以上の差が出る結果となりました。
こうして見比べてみると、「扱いかた次第で、エンジン寿命が短くなることもあるし、長持ちすることもある」ということがイメージできるかと思います。
余談になりますが、
代表 日向のシグナス(ヤマハの125ccスクーター)は、エンジンオーバーホール無し・オイル交換だけで走行距離9.4万kmを超えています。
ケース2:CB750F RC04のピストン
走行距離22,816kmと、20,035kmのピストンを並べてみました。それぞれべつのCB750Fで、距離は実走行かと思われます。
A.走行距離22,816km(Vol.1)
B.走行距離20,035km(Vol.2)
マフラーやキャブレターなど、仕様が異なるため単純比較はできませんが、Aのピストン側面のほうがわずかに打痕が多く見られました。(写真ではエンジンオイルが付着しているためわかりづらいかもしれません)
ピストン頭のカーボンの付き具合は同じぐらいです。